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7時に差し掛かる時、階段から下りてきた祖母が台所に立ち朝食を作り始める。
「アツコ、朝帰りしたわね。」
沸々と沸く怒りを直に感じ思わず身震いした。
「本当に最低!」
「‥お祖母ちゃん。」
「何!?」
「俺、昼はいないから。ユミと出掛ける。」
「分かったわ。」
祖母の表情が少し柔らかくなった。それは彼女がユミを気に入っているから。礼儀正しく、ちょっとした気遣いもでき、けじめをつけるユミ俺の自慢の彼女。
良く俺の家に訪れれば出されたティーカップを軽く洗い食洗機に入れ、帰る時にはきちっと挨拶をして帰る。最近の子はあまりそんな事しない。
なるほど、通りで厳しい祖母が気に入る訳だ。
不意に食卓に並ばれた朝食からトーストを一枚つまみ食いする。
香ばしい香りが鼻腔を満たしていった。
朝食を食べ出掛ける準備をしているとケータイがチカチカ光る。どうやら、ユミからのようだ。俺は急いで通話ボタンを押し、それを耳に当てた。
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