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都内某所のビルの5階で、2人の女性がデスクワークをしている。
「遠藤君、次これね」
「はい」
書類を渡されたのは遠藤 安里。ごく普通のOL。
栗色のショートヘア、右耳には星のピアス。
受け取った書類を持ち自席に戻ると、隣の女性が耳打ちしてきた。
「ねぇそう言えばさー、営業部の部長、また若い娘連れてホテル行ったらしいよ」
「それマジ?」
小さく頷く。
彼女は、同僚の磯野 満里奈。
ライトブラウンのセミロング。そして左手に指輪。彼氏と同棲している。
「これで何回目だろうね…」
「あなたたちのお喋りも、これで何回目でしょうね。遠藤さん?」
通路から嫌みたらしく話しかけてくるのは、川名 優乃。安里たちの先輩で、1班のリーダー。
「は~い…すいません」
彼女はわざと足音をたてながら自席に戻った。
「嫌味ー」
「いつものことだよ」
心配いらないよ、と言い聞かせる。
頼まれた書類を1枚ずつ目を通す。さほど多くないそれをパソコンにデータ入力していく。
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