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歩に着いていって街に行くと、まるでヨーロッパの様な町並みが広がっていた。
綺麗に並べられたタイルの道を歩きながら、俺はキョロキョロと街を見渡す。
人で賑わっている市場の様な所に差し掛かると、歩はある店の前で立ち止まった。
「少しここに用事がある。少し外でまってろ」
「え、何!?初めての場所で戸惑って不安になっている俺を一人にする訳!?保護者のくせに責任放棄!?」
「保護者になった覚えは無い。勝手に着いてきているのは棗だ。…何なら今すぐに何処かに取り残してこようか?」
「……………すみません。調子にのりました」
「解ればよろしい。では、待ってろ」
店の中に入っていった歩から視線を人混みに移す。
皆西洋人の様に髪は金髪だったり明るい茶色だったりと様々だ。
目の色も青だったり、黒だったりと様々で、外見的には俺も中に入っても違和感は無い。実際、歩も違和感はないのだし、当たり前と言えば当たり前の事なのだが。
……何故だろう。見られている気がする。
いや、これ自意識過剰とかじゃないからね。
通り過ぎる人皆俺を必ず見ていくからね。
挙げ句の果てにはこそこそと何か言われているからね。
まさか未だ俺上半身裸だったっけ?って思わず自分の格好を見ると、歩に借りたマントに確りと隠れていて裸の部分は無い。
見られている理由が全く解らなかった。
…何なのこれ。何か傷付くんだけど。
そう溜め息をついて項垂れていた時だ。
「おい、お前。見ねぇ顔だな」
「見たところ騎士団の奴みてぇだな。此処が誰のテリトリーだか解ってんのか?ああん?」
いかにも柄の悪そうな男二人が俺に突っかかってきたのだ。
こういう奴等は下手に出るのが効率的だ。
「あ、すみません。俺は未だ新米の者なんで。貴方の区域だとは知らずにすみません。」
騎士団だかなんだか知らないが、利用してやる。
「何だ?てめぇ新米だったのか?だから許可なくこんなとこに突っ立ってたんだな」
「なら、身体に教え込ませてやろうぜ」
………………。
駄目だった。
どうやらこいつ等はただ誰かをいたぶりたいだけらしい。
何にも悪くない俺が二度も謝ったのが馬鹿みたいじゃないか。
もう一度言うけど、俺は何も悪くないからね!?
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