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案の定男二人組は俺を逃がさない様に左右から近寄ってくる。
左は体格がよく左腕に何かの動物の刺青をしている短髪の男で、右は赤い髪に、モヒカンという不良としか言いようがない奴等だ。
んん?
良く見れば…あの刺青ウサギじゃね?
あの可愛らしい長い耳を持った動物だよな?
何こいつ、ウサギ好きなの?
カワイイな。
もういいや、左はウサギちゃんと呼ぼう。右は…面倒だからアカモヒかな。
そんなことを考えている内に、ウサギちゃんが殴りかかってきた。
おれはそれを最小限の動きで避け、ウサギちゃんの後ろに回り込む。
「なっ…!」
驚きの声を上げたウサギちゃんの横からアカモヒが視角になる様に迫って来ていた。
こいつもまぁ勢い良く殴りかかってきたので、俺の頬スレスレの空を切ったその腕を頬と反対側の手で掴んで、アカモヒの足を引っ掻け、背中を向けると勢いを使って思いきりアカモヒを投げた。
所謂背負い投げだ。
「いっつ…!?」
ひゅー!我ながら綺麗に決まった。上出来だ。
背負い投げって綺麗に決まると清々しいよね。
「てめぇ…」
お?ウサギちゃんの逆襲か?
ウサギちゃんは懐から何かキラリと光るものを出して…
…………………って、えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?
「いやいや、流石に刃物は太刀打ち出来ないからね!?」
俺今丸腰ですからぁぁ!!
「知るか!」
「ひぃぃっ!?」
振りかざされたダガーナイフみたいなのを俺は顔面スレスレで避ける。
ってか、
「何でさっきから顔ばっか狙うの!?」
「そのすかしたツラが気に食わねぇからだ!!」
「すかしてねぇぇぇぇぇぇ!!」
何!?もしかして顔が気に入らないから絡んで来た訳!?
酷くね!?俺好きでこの顔に生まれてきた訳じゃないんだけど!?
「理不尽だぁぁぁ!!」
「なっ…!」
俺は再び迫ってきたナイフを持つ手に手刀を下ろし、未だナイフが地面に落ちきらない内に身体を捻って…ウサギちゃんの頭の横に思い切り蹴りを入れた。
これぞ親父直伝、回し蹴りだ。
今ので脳が揺れた筈なので、ウサギちゃんは暫く起き上がれ無いだろう。
「ごめんな?俺まだ死にたくないからさ、自己防衛だし、重々酌量の余地はあるよな」
ふぅ、と溜め息をつくと、ふと周りの視線が気になった。
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