動き出す歯車

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突然だが、俺、英 棗(ハナブサ ナツメ)は究極の選択を迫られている。 1、キスをする。 2、何も言わずに抱き締める。3、頭を撫でる。 未だ出会って間もないこの時点でなんなのこの恋愛フラグ!? 早すぎね!? キキキキキスとか! 抱き締めるとか! 頭撫でるとか! あ、最後のはあり得るか。 ってかどの選択肢も女の子に触るなんてどうかしてね!? せめて話しかけて慰めるとかにしろよ! 恋愛経験がほぼゼロに等しい俺がそんなハードルの高い事を出来るわけがないだろ! …と色々ツッコンではみたものの、現実にそんな選択肢が浮かぶ訳もなく。 俺は持っていたポータブルのゲーム機をベットに放り投げて同じ様に自分の体もベットに放り投げた。 「全く、武人の奴もなんでこんなもんを俺に貸すかな」 恋愛ゲームなんてものには全く興味もない。2次元の女の子に『萌え』とかいう感情も抱いたこともない。あ、これはもう古いか。 3次元の女の子とは、よく話したり付き合ったりしていたこともあるが、別に感情が伴っていた訳ではなかった。その女の子には悪いことをしたと思うけどね。 何でそうなるかって? だって、勝手に向こうから群がってくるんだ。  友人の武人は、 「お前がその顔でクールにお高くとまってるからだよ!」 とか言っていたが、そんなことはないと思う。 確かに、顔は自分でもまぁまぁ良い方だとは思うが、クールってのは無い。 さっきも取り乱してたしな。 自分ではそう思うが、周りはそうは思ってくれないようで。 段々群がってくる女子が五月蝿くなってきたから、俺は最終手段に出た。 俺の通っている高校で一番美人だとかいう柴崎 歩(シバサキ アユム)に協力を仰いだのだ。 「女子牽制の為に俺と付き合ってる振りをしてくれねぇか?」 そう彼女に言うと、アッサリOK。聞くと彼女も群がる男の扱いに困ってたとか。 利害の一致というヤツで、お互い付き合っているフリをしていた。  
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