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変わらない日常
気がつくと俺はいつの間にか寝ていたらしく布団から出るといつもの様にカーテンの隙間から暖かい太陽の光がさしこんでいた……
「朝…?そうだ…学校に行かないと……姉貴達は……もう居ないんだな…」
昨日の事を思い出し涙が出てきた……。俺は二階のリビングに行き扉を開けた…昨日と変わらない姉貴達やお袋の死体が…否応なしに眼に焼き付いた……
「舞姉ちゃん……舞…」
俺は舞の死体の傍に行き舞の名を呼んだ……でも、舞は何も答えなかった……当たり前だ…舞は死んでいるのだから……。
俺は舞姉…いや、舞が好きだった…姉としてではなく一人の女性として好きだった……舞はいつも優しかった…俺は迷惑ばかりかけていた…でも舞はそんな俺をいつも優しい微笑みを浮かべ見つめていてくれた……中学の入学式の前の日に舞は
「ねえ…鬱音…」
「なんだよ舞姉ちゃん…」
いつもと違う舞の雰囲気に俺は戸惑っていた…
「あたしね…好きな人ができたの…」
「あ?それで?」
俺はショックだった…大好きな舞に好きな人が出来たと聞き俺は半分怒りながら返事をした……しかし舞は
「驚いたらダメよ?アタシの好きな人はね……フフッ鬱音……貴方よ?」
「ふ~ん……って俺!?」
俺は驚いて舞の顔を見た…すると舞は
「アタシじゃダメかな?」
舞は潤んだ瞳で俺の瞳をみつめていた…
「俺だって舞の事は好きだよ…でも姉弟だから…」
口ごもる俺に対して舞は…
「アタシは真剣だよ?」
そう言うと…キスしてくれた……。
それから俺は舞を姉ではなく恋人として意識しなくてはならなくなった……舞は寝る前には必ず
「オヤスミ。」
と言って頬にキスしてくれるようになった…俺はそれが嬉しかった………でも、眼の前の舞は何も言わない人形の様に横たわっていた……。俺は自分のヘソクリを使いパンと飲み物を買って学校へ行った……家から出るとき親父の死体は見ない様にした……
学校に着くといつもの様に友達が挨拶してきた…俺は適当に、
「おはよう」
と、言って手をあげただけだった…教室を見渡すと、いつもと変わらない教室だった…俺は何だか胸が苦しくなった。その日は結局早退した……。
家に帰ると警察が沢山うろついていて家に入れなかった…代わりに警察署で事情を聞かれたから全て話したら明日からは孤児院で暮らすように指示された………
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