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「落ち着いた?」 『うん。ごめん』 彼はちょっとだけ恥ずか しそうに俯いた。 「何か食べる?作ろうか ?」 『いいや。それに…』 彼が言葉に詰まった。 俺には彼の考えてること が分かったような気がし た。 『俺さ、ちょっとホッと したんだ。あいつがもう 起きることがないんだっ て分かったとき。もうこ れで薬の副作用に苦しん だり、病気の痛みに耐え なくていいんだって思っ たら哀しいより先にホッ としてた』 彼は泣き腫らした目でじ っと空を見つめて話しを 始めた。 その目線の先には病室が あるんだろう。 『だけど、それはもしか したら建前なのかもしれ ない。俺自身、あいつが 苦しんでるのを見るのが 辛かった。正直、病室に 行くのが怖くて行きたく ないって思ったことも1 度や2度じゃない。きっ とあいつもそれに気付い てたと思う』 彼はテーブルの上で手を 強く握りしめた。 『もう来るなって言われ た』
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