けじめ

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「桜庭」 「はい」 「俺とお前にはもう、繋がりは無くなってしまった」 「…………」 「それでも俺は、お前の……桜庭葉の味方だからな」 「……はい」 込み上げるものをぐっと堪えて、再び監督に頭を下げた。 「皆、お待たせ」 「もう話は済んだのか?」 「あぁ、後で皆にも話すよ」 「いいのか?」 「話しておきたいことだ」 「分かった。 そんじゃ……帰りますか」 ユウが指示すると、皆も荷物を持って帰る準備をする。 すると……。 「葉」 名前を呼ばれ振り返る。 振り返ると清也、宮野さん、原口さんの姿が。 「……二度と来るんじゃねぇぞ」 原口さんが言う。 「お前がいないから優勝出来なかったなんて絶対に言わせない。 必ず俺らは優勝してみせる」 「……期待しています」 「ちっ、生意気な野郎だ」 そう言って原口さんは振り返り、去っていく。 「あぁ言ってるけど、竜治は桜庭を認めてるんだ。 口下手なだけでさ」 「……前からあの人はそうでしたよね。 バスケにも真剣で」 俺がいた時も、第一にチームのことを考えていた。 そういえば、あの時も。 ……本当に期待してますよ、原口さん。
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