けじめ

92/93
前へ
/699ページ
次へ
「元気でな桜庭」 「はい」 「お前とはもう少し一緒にバスケをやっていたかったな」 「この先あるかもしれませんよ」 「……桜庭が前向きな発言を残すなんてな」 宮野さんはクスッと笑う。 そして俺に手を差し出してくる。 「全国制覇するの、楽しみに待ってますよ」 「あぁ」 宮野さんの手をガッチリと掴んで、軽く礼をする。 手が離れると宮野さんは何も言わず、清也の肩を叩いて去って行った。 「んじゃ俺らは外で待ってっからよ」 そう言ってユウ達は外に出ていく。 向き合う俺と清也。 「……この先、本当に俺らが一緒にバスケ出来る日が来るのかな」 「……分からねぇ。 でも、そう信じていれば叶ったりするかもよ」 「ははっ、曖昧だな。 ……なぁ、葉」 「何だ?」 「……ありがとな。 俺はまだまだ強くなれる」 「俺は何もしてねぇよ」 「いいや、お前がいたから俺はここまで強くなれた。 そして……もっともっと強くなって、今度こそお前を越えてみせるからな!!」 清也は拳をすっと差し出す。 「……だったら俺は、お前が届かない高みまで昇ってやるよ」 俺は自分の拳を清也の拳にコツンと当てる。 ……曖昧なんかじゃないよ、清也。 いつの日かまたお前とは、一緒にバスケ出来る。 そんな気がするんだ。
/699ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1696人が本棚に入れています
本棚に追加