因縁

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「んじゃまた明日な」 「おーう」 地上に出て、どんどん別れていく俺ら。 最後に残ったのは、俺とヨウの二人だった。 「んじゃ俺はここで」 「ん、コンビニ寄るのか?」 「飯」 「コンビニ弁当食うくらいならうちに来いよ。 飯くらいご馳走するぜ?」 「何でお前と二人で飯を食わなきゃなんねぇんだ」 「冷たくね!? それに今日は由芽が来てくれるから大丈夫だ」 「由芽ちゃんの飯なら行く」 「お前……いつか痛い目見るからな」 「ゴチになります」 ヨウはコンビニに入ろうとした足を、うちへの家路へと向ける。 既に部屋には電気が。 由芽がもう作ってくれているのだろう。 凄く助かるし、ありがたい。 「ただいま」 「あ、お帰りお兄ちゃ……葉さん!!」 包丁を置き、玄関まで駆け寄ってくる由芽ちゃん。 「こんばんは由芽ちゃん。 俺もご飯一緒していいかな?」 「もちろんです!! ほらお兄ちゃん、早くおもてなししなさい!!」 「ちょ、引っ張るな!!」 疲れて帰って来たのに、バタバタとおもてなしの準備をさせられる。 って仲間だけでなく、妹にさえこんな態度を取られる始末。 威厳って、どうやったら生まれるんだろう……。
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