因縁

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「ごめん、ちょっとお手洗い借りるわ」 「大?」 「お兄ちゃん最悪!!」 「由芽ちゃんもっと言ってやってくれ、この馬鹿に」 そう言い捨て、ヨウはトイレに行った。 「やっぱ葉さんって素敵ね……」 由芽は明らかに恋する女の子の表情。 青春してんなぁ……。 「なぁ由芽」 「なに?」 「ヨウのこと好きなのか?」 「うん」 「おぉ……即答」 「普通惚れるでしょ」 「どんな所に?」 「かっこいいし、クールだし、背は高いし……」 「おいおい」 「それに面白いし、バスケ上手いし、優しいし……」 「お、おぉ……」 「それに家族思いだし。 後は強い意志を持ってるって感じだし……」 「も、もう十分だ」 すげぇな……恋する女の子ってのは、ここまでよく相手をよく見てるのな。 そういえば由芽は何回か俺がいない時にも会ってるって言ってたな。 家族……母親のことも由芽に話したのか。 「もしかしたら、本当は悪い奴かもしんねぇよ?」 俺は笑いながら冗談混じりに言う。 「そんな訳ないじゃん」 由芽も笑いながら言う。 「根拠は?」 そんな由芽に更に聞く。 すると由芽は……。 「だってお兄ちゃんが信頼してる人でしょ? 悪い人な訳無いじゃん」 そう、即答した。
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