文化祭前日

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目は少し開いているけど、まだ寝ぼけているよう。 「先生?まだ寝てていいよ」 「ごめ、ん」 「…、」 謝られてしまった。 謝られるようなこと、先生したかな。 「抱きしめて、ごめん。戸惑ったよな。困らせて、ごめん」 「…先生…」 「でも、あれが紛れもない、俺の気持ち。だから…神崎…」 そう言って、先生は目を閉じてしまった。 なんだか、重要な部分を聞き損ねた気がする。 だめだな。 そんなこと言ったら、せっかく元に戻りそうだったのに。 前までの距離に。 戻れなくなる。 離れていた距離が、また離れた気がする。 縮まることは、あるのかな。 この距離。
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