第一章

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「千奈美。」 「むふふ、いっただっきまぁ…」 「千奈美ってば!!」 「…んん」 顔を上げると、苦笑いしているあかりの顔があった。 この状況からすると… 「…もしかして、私寝てた?」 「うん、がっつりね(笑)」 ポカポカ陽気の暖かい金曜の午後。 そりゃ誰だって眠くはなる。 「そっか…、起こしてくれてありがと。」 「うん、それはいいんだけどさ…。」 そう言いながら、あかりはそっと黒板の方を指差した。 その指の先を認識した瞬間、私は思わず立ち上がった。 ガッターン……… その反動で、私が座っていたイスは派手な音を立ててひっくり返った。 クスクスと、クラスのあちこちから笑い声が聞こえる。 私が焦るのも無理はない。 だって、一人の男が仁王立ちでこっちをにらんでいるのだから…。 .
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