第一章

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秀ちゃんというのは、さっき私を仁王立ちでにらんでいた人。 その名も、神崎秀先生。 みんなからは“秀ちゃん”と呼ばれている。 まあ、もっとも先生自身はそのあだ名を認めてないけど。 「24歳という若さなのに、生徒への指導力はすごい」と、職員室で先生方が話しているのを聞いたことがある。 その授業のわかりやすさとイケメンという二点で、女子生徒に超モテモテなのはもちろん、男子生徒からも人気がある。 でも、私とあかりは、どうもあの人が苦手だ。 あかりにいたっては、苦手というより嫌いなんだろう。 まあ、確かに顔はイケメンだと思うよ。 だけと、よく怒られている私たちは、あの人は「ドS」だとも思っている。 思っているというか、もはや断定的。 「だって仕方ないじゃん。数学の授業聞いてると、先生の言葉は催眠術にしかきこえないんだもーん。」 「『もーん』じゃない!」 .
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