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そう言って、いつの間にか、私たちの近くに来ていた秀ちゃんは、私たちの頭を教科書で叩いた。
「「いったーい!!」」
「『いったーい』じゃねーよ。
まったく、お前ら何回俺を怒らせれば気が済むんだ?」
「だからって、教科書でブつことないじゃん、秀ちゃん。」
「話聞いてねぇお前らが悪いんだろーが。それにな、“秀ちゃん”なんて妙なあだ名で呼ぶな。先生をつけろ、先生を。」
あかりはよく、先生にそんな態度とれるよなあ。
私なんか、怖くて怖くてとてもじゃないよ…。
「おい、倉本!聞いてるのか!」
話を聞いていなくて、また先生に、怒鳴られてしまった。
「ご、ごめんなさい…。」
ほらね。
私はいつも謝ってばっか…
「ったく、お前ら本当に仕方ねぇな。」
そして、先生は口角をクッと上げ、メガネの奥の瞳を光らせた。
ってことは、まさか………
「今日の放課後、二人で準備室に来い。」
やっぱり………
「ええ~!!」
「『ええ~』じゃねぇ!!俺の授業の邪魔した罰だからな。………よーし、授業続けるぞー。」
思った通り。
先生があのイジわる顔をしたときは、ろくなことがない。
もう最悪だよお…。
ふとあかりを見ると、黒板に数式を書いている先生に向かって、ベーっと舌を出している。
もちろんそんなことなど出来ない私は、
先生を少しだけにらんだ。
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