第一章

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そう言って、いつの間にか、私たちの近くに来ていた秀ちゃんは、私たちの頭を教科書で叩いた。 「「いったーい!!」」 「『いったーい』じゃねーよ。 まったく、お前ら何回俺を怒らせれば気が済むんだ?」 「だからって、教科書でブつことないじゃん、秀ちゃん。」 「話聞いてねぇお前らが悪いんだろーが。それにな、“秀ちゃん”なんて妙なあだ名で呼ぶな。先生をつけろ、先生を。」 あかりはよく、先生にそんな態度とれるよなあ。 私なんか、怖くて怖くてとてもじゃないよ…。 「おい、倉本!聞いてるのか!」 話を聞いていなくて、また先生に、怒鳴られてしまった。 「ご、ごめんなさい…。」 ほらね。 私はいつも謝ってばっか… 「ったく、お前ら本当に仕方ねぇな。」 そして、先生は口角をクッと上げ、メガネの奥の瞳を光らせた。 ってことは、まさか……… 「今日の放課後、二人で準備室に来い。」 やっぱり……… 「ええ~!!」 「『ええ~』じゃねぇ!!俺の授業の邪魔した罰だからな。………よーし、授業続けるぞー。」 思った通り。 先生があのイジわる顔をしたときは、ろくなことがない。 もう最悪だよお…。 ふとあかりを見ると、黒板に数式を書いている先生に向かって、ベーっと舌を出している。 もちろんそんなことなど出来ない私は、 先生を少しだけにらんだ。 .
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