5.コーリング・ユー

13/21
前へ
/804ページ
次へ
「あたし達の役目は下調べ、そうでしょ?」 アインは頷いた。 「NOISEの皆さんには生徒会の動向と内部情報を探ってもらいます。そしてその情報を元に、私達がフィエスタの日、彼らに介入する。」 「そこにあたし達は噛まなくていいの?」 そのヲリエの言葉にリントが目を見開いたのをシェリルは見た。 「いくら強者揃いでも、あなた達だけじゃ…。」 「御好意は有り難いですが…。シルクはNOISEの実戦参加は考えていません。」 実戦。 その単語がシェリルやラウルには一際物々しく聴こえた。 「私はよく知りませんが、NOISEの矜持に反する事をシルクは強要したくないそうです。」 「流石、よくお分かりで。」 ヲリエは微笑んだ。諦めの笑みでは無い。含みがある。 「じゃあ、あたし達の共同戦線はフィエスタまでって事ね?」 「はい。」 「その先は、そちらの厚意があるとは云え、あたし達の動きは制限されないと見ていいのね?」 「はい…。」 アインは怪訝な顔をした。ヲリエの腹が読めないのだろう。 「…その共同戦線は」 不意にリントが口を開いた。全員の注目が向く。 「あくまでレイル・コンスタンティノーブルが何か企んでいるという仮説の上に成り立っている。その仮説を立証する為に取材する事は、NOISEの矜持に反しちゃいない。」 アインが安堵を見せた。リントが明らかに歓迎していないのは彼女にも分かっていた。 「…仮説が事実だと立証されない限りは、俺達はただNOISEとして仕事を全うしていくだけだ。」
/804ページ

最初のコメントを投稿しよう!

61人が本棚に入れています
本棚に追加