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「あたし達の役目は下調べ、そうでしょ?」
アインは頷いた。
「NOISEの皆さんには生徒会の動向と内部情報を探ってもらいます。そしてその情報を元に、私達がフィエスタの日、彼らに介入する。」
「そこにあたし達は噛まなくていいの?」
そのヲリエの言葉にリントが目を見開いたのをシェリルは見た。
「いくら強者揃いでも、あなた達だけじゃ…。」
「御好意は有り難いですが…。シルクはNOISEの実戦参加は考えていません。」
実戦。
その単語がシェリルやラウルには一際物々しく聴こえた。
「私はよく知りませんが、NOISEの矜持に反する事をシルクは強要したくないそうです。」
「流石、よくお分かりで。」
ヲリエは微笑んだ。諦めの笑みでは無い。含みがある。
「じゃあ、あたし達の共同戦線はフィエスタまでって事ね?」
「はい。」
「その先は、そちらの厚意があるとは云え、あたし達の動きは制限されないと見ていいのね?」
「はい…。」
アインは怪訝な顔をした。ヲリエの腹が読めないのだろう。
「…その共同戦線は」
不意にリントが口を開いた。全員の注目が向く。
「あくまでレイル・コンスタンティノーブルが何か企んでいるという仮説の上に成り立っている。その仮説を立証する為に取材する事は、NOISEの矜持に反しちゃいない。」
アインが安堵を見せた。リントが明らかに歓迎していないのは彼女にも分かっていた。
「…仮説が事実だと立証されない限りは、俺達はただNOISEとして仕事を全うしていくだけだ。」
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