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リントがアインに目を向けた。アインは顔を強ばらせる。ヲリエは目で牽制した。それだけリントは、恨めしさを瞳に灯していた。
「ただそこにアンタらの思惑は関係無い。情報を流すくらいならいい。毎週NOISEを送ってやる。だがそっちの指示を受けはしない。あくまで俺達は、俺達だ。その方が都合が良いだろう?こっちの行動に恣意性があったら生徒会に感づかれる。」
ヲリエは溜め息をついた。理路整然と並べ立てるリントは珍しい。それだけリントは感情的になっている。とやかくつつく事は出来ない。
アインは眼を伏せていた。リントに露骨な反発を受けた事を憂いているのだろう。
「分かっているよ、リント。あたし達はあたし達って事でしょう?」
「…字面だけを受け取るなら。」
ヲリエのフォローをリントはシニカルに返した。
場に暗い緊張が張り詰める。
「ねぇ、アイン。一つ質問したいんだけど。いいかな?」
沈黙の帳を破ったのはシルトの甘い声だ。アインはパッと顔を上げて反応する。場の雰囲気に一番感応していたのだろう。
「はい。」
「答えられる範囲で良いよ。
多分君の事を見聞きした誰もが疑問に覚えたと思うけど。君の名前、アイン・アイリス。どうしてシルクさんと同じ姓を名乗っているのかな?君はシルクさんの近親者なのかい?」
アインは再び顔を強ばらせる。やはり感情の起伏が表情に出やすい。
「君と僕達は初対面だ。シルクさん達とは面識があるけど君は違う。君の口から良く知る名前が出ても、君自身には直結しないんだ。だから是非とも教えて欲しいね、君の事を。」
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