5.コーリング・ユー

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「そうね、それで良いわ。」 メイデンは髪を人差し指で巻きながら云った。 「実の所、暴れようとか、滅しようとか、そんな野蛮な目的で来た訳じゃないの。ただ此処に居座らせて頂こうと思って来ただけ。まぁ、そこの転校生も捜していたし、丁度いいわ。」 「居座る?正直云って邪魔なんだけど。」 「邪険にしないでよ。あなた達を強引に黙らせて居座るなんて野蛮じゃない?」 メイデンの瞳が揺らめく。赤銅色の瞳に火が点いたようだ。退く気は無い。そう認識したヲリエは慎重に舌を動かす。 「目的は何?」 「居座るって云っているじゃない。」 「何の為に居座るか、よ。」 「気にする必要は無いわ。あなたは頷くしか無いのだから。」 遠い、地響きのような音が編集室に届く。外からだ。 「…何、今の?」 ヲリエの目つきが変わる。 「気にする必要は、無い。」 メイデンの口元が綻ぶ。 「ちっ…。」 火花を散らすヲリエとメイデンを尻目にリントはズボンのポケットに手を突っ込み、端末を操作する。素早くキーを打った。 「おい!何してんだ!」 リントの素振りに気付いた執行部員の一人の男が肩を掴んできた。リントは端末をポケットに仕舞い、すぐさま両手を上げる。 「何もねぇよ。足が痒かっただけだ。」 「手荒な事はやめてくれるかな?フリス。君達にお茶を出したいんだ。」 シルトが穏やかな物腰で牽制する。 「手荒になるかどうかはあなた達次第よ。」 メイデンは右手を挙げてリントの肩を掴んだ執行部員を下げさせると、NOISE一同を見渡した。 「まぁ、手間な説明が省けて幸いだわ。一先ず理解した?一つでも気に入らない素振りがあれば、私達も致し方なく手を出すから。 だから暫く黙っていてね。出来るなら、一秒でも永久に近く。」
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