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内向的に振る舞うシオにジョゼフは肩を竦めた。
「俺が暇だってのに勿体無い。暇人同士、仲良くやろうじゃないか。」
ツカツカ部屋に入り、ジョゼフは椅子に腰掛けた。長居する気が見えて、シオは顔をしかめた。
「何だ?忙しかった?」
ジョゼフが目敏くシオの表情に気付いてきたので、シオは顔を背けた。
「煮え切らない顔だな。」
シオの反応が楽しいのかジョゼフは言葉でつついてきた。
「放っといてよ…。」
「暇だから構ってやってんだよ。付き合わないか?」
「やだよ…。」
ジョゼフの目に映るシオは普段と違う。だからこそジョゼフは楽しんでいた。
「お前の疑問に答えてやってもいいぜ?」
「……。」
訝しげにシオはジョゼフを睨んだ。ジョゼフは相変わらず悪意が滲む笑顔を見せる。
どうせ何を云ってもしたり顔で流されるだけだ。
分かっていたが、シオはジョゼフに質してみた。
「…俺の中の記憶は誰のもの?」
「さぁ。」
「アンセムは何だったんだ?」
「さぁ。」
「アトモスフィアはどこから来た力なんだ?」
「さぁ。」
「う~~~っ!」
獣じみた唸り声を上げてシオが飛びかかる。ジョゼフは難無く足でシオの肩を押さえ込んだ。
「嘘、吐きっ…!」
恨めしくジョゼフを睨みつけるシオ。前に進もうともジョゼフの足に妨げられて進まない。シオの拙い抵抗をジョゼフはサディスティックな目で楽しんだ。
「嘘吐きじゃねぇだろ?正直に答えたぜ?さぁ、って。」
「こっちは…真面目だっ!」
ジョゼフの足をどかし、シオは背を向けた。完全に拗ねたようだ。
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