1.闇に踊る

11/15

61人が本棚に入れています
本棚に追加
/804ページ
内向的に振る舞うシオにジョゼフは肩を竦めた。 「俺が暇だってのに勿体無い。暇人同士、仲良くやろうじゃないか。」 ツカツカ部屋に入り、ジョゼフは椅子に腰掛けた。長居する気が見えて、シオは顔をしかめた。 「何だ?忙しかった?」 ジョゼフが目敏くシオの表情に気付いてきたので、シオは顔を背けた。 「煮え切らない顔だな。」 シオの反応が楽しいのかジョゼフは言葉でつついてきた。 「放っといてよ…。」 「暇だから構ってやってんだよ。付き合わないか?」 「やだよ…。」 ジョゼフの目に映るシオは普段と違う。だからこそジョゼフは楽しんでいた。 「お前の疑問に答えてやってもいいぜ?」 「……。」 訝しげにシオはジョゼフを睨んだ。ジョゼフは相変わらず悪意が滲む笑顔を見せる。 どうせ何を云ってもしたり顔で流されるだけだ。 分かっていたが、シオはジョゼフに質してみた。 「…俺の中の記憶は誰のもの?」 「さぁ。」 「アンセムは何だったんだ?」 「さぁ。」 「アトモスフィアはどこから来た力なんだ?」 「さぁ。」 「う~~~っ!」 獣じみた唸り声を上げてシオが飛びかかる。ジョゼフは難無く足でシオの肩を押さえ込んだ。 「嘘、吐きっ…!」 恨めしくジョゼフを睨みつけるシオ。前に進もうともジョゼフの足に妨げられて進まない。シオの拙い抵抗をジョゼフはサディスティックな目で楽しんだ。 「嘘吐きじゃねぇだろ?正直に答えたぜ?さぁ、って。」 「こっちは…真面目だっ!」 ジョゼフの足をどかし、シオは背を向けた。完全に拗ねたようだ。
/804ページ

最初のコメントを投稿しよう!

61人が本棚に入れています
本棚に追加