6.風雲逆巻く

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躍り出た影は真っ正面からエドガー目掛けて猛進する。かわしたエドガーだが、背後からかわしきれず突き飛ばされているであろう執行部員達の悲鳴が聞こえてきた。 「ちぃぃっ!」 奇襲を警戒するよう手勢に厳命はした。だが今の影は予測を超えた速度だ。視認すら難しい。連れ立っている執行部員達では為す術は無いだろう。 「半分持ってかれたか…。踏みとどまれ!負傷者は下げろ!」 エドガーは激を飛ばしながら影の元へ向かう。影は人より大型だ。召還体の可能性がある。 「なろぉ…!」 エドガーの歩みは勇んでいる。闘志が高まった。 「セブンスミス…!」 エドガーの一声で鉄球が変形し、斧になった。通常よりずっと大型の斧だ。 「出てこい!下っ端をやった所で始まんねえぞ!」 エドガーは吠えた。木々が振動する。有りっ丈の闘志を込めた一喝だ。 「然り…。大将首を挙げるが戦の華!」 呼応して、影が接近してきた。派手派手しい外観の青年、アルスだ。 彼は馬に跨っていた。否、馬のような何かだ。 外観のフォルムは機械的であり、よく磨かれた白い鉄に被われている。頭部は馬と云うよりかは細長いフルフェイスのヘルメットのようだ。しなやかに伸びた四肢は金色の蹄を備えてある。臀部には尻尾では無くバイクのマフラーに似た円筒が五つ付いていた。 更に奇妙なのは背中だ。前肢と後肢に位置する肩や尻から同じ金色の蹄を備えた足が出ている。それらが跨っているアルスを挟むように屹立しているのだ。
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