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「名乗るが礼節!我が名はクレムフェン・アルス・ウォーデンクルフ。そして我が愛馬スレイプニル。」
「とんだハッタリ野郎だぜ…!」
アルスの無意味に芝居がかった所作にエドガーは苦々しい顔をした。アマデオの仲間だろう。アマデオに似て癖の強い男だ。
「貴公の名は?!」
鋭くブロードソードを向けられ、エドガーは眉をしかめたが、素直に返した。
「エドガー・B・ボルテール。両ノ手、馬手参の指だ。」
「僥倖!」
アルスはスレイプニルの吻部に巻かれた手綱を引いた。馬に似つかない馬が小さく嘶いてエドガーの方を向く。
「我が剣の相手に申し分無し!お相手願う!」
「役不足じゃない事を祈るぜ…!」
エドガーは斧を振り上げ、地面に叩き付けた。
「イグニッション!」
途端に斧が叩きつけられた場所から爆発が起こり、地走りのように突進してくる。
「笑止!」
アルスが手綱を振るうとスレイプニルは強く大地を踏みしめて高々と跳躍する。爆発の衝撃波にも乗ってスレイプニルは舞い上がった。
「跳ねるなぁ!」
エドガーが斧に魔力を込めると斧は変形し、恐ろしく長い槍になった。
「スレイプニル!」
アルスの一声でスレイプニルの臀部の円筒からブースターのように高出力の炎が射出される。スレイプニルは空中で急発進し、森の中に飛び込んだ。
そして折れた小枝や葉を巻き上げてアルスは再度エドガーに突っ込む。
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