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「速えぇっ?!」
「押し通る!」
ブースターを盛大に噴かせてスレイプニルが迫る。エドガーの想定を遥かに超えた速度だ。
「邪魔すんじゃねぇぞ!」
エドガーは槍を縮め、通常の長さにすると投擲の構えを取る。
「おらぁ!」
エドガーが投擲した槍には魔力がタップリ練り込まれている。
アルスが弾き返そうブロードソードを構えた瞬間、エドガーは指を鳴らした。
「イグニッション!」
「っ?!」
アルスが察したのも遅く、眼前で強烈な爆発が起こる。
「取ったか?!」
だが爆煙を突き抜けてアルスが姿を現した。焼けたコートを脱ぎ捨ててアルスは哮る。
「させぬさ!」
ブロードソードに光が差し、光の刃が剣を覆う。
「ムーングラム!」
大きく刃渡りを伸ばした剣の一閃でエドガーの体は吹き飛ばされた。
「手応えが鈍いっ…!」
スレイプニルを手繰り寄せ、アルスはエドガーが吹き飛んだ方向を睨む。
「うぜっ…!」
唇から漏れ出た血を拭い、エドガーは体に纏わりつく折れた枝葉を払って立ち上がる。
両腕は銀色のガントレットに包まれていた。投擲した槍をセブンスミスで錬成し直し、ガントレットを作ったのだ。
「詰まんねぇ人生だよな。外からも内からも邪魔されてよ。無様にも程があるぜ。」
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