6.風雲逆巻く

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「否!」 エドガーの姿を認めたアルスはブロードソードを突き付けた。 「人の美は、困難を超えてこそ生まれる!」 ブースターを噴射させ、アルスは突進した。 「…そうかよ。」 エドガーはガントレットを再び斧に変え、直進するアルスに向けた。 「なら、俺に倒されろ。」 斧の先端に魔力を込め、発射すると魔力は炎になる。炎は爆発しながら肥大化し、やがて巨大な爆炎に成長する。 「ヘルファイア!」 その爆炎に巻き込まれたらひとたまりも無いだろう。だがアルス臆する様子は無い。速度を緩める事無くエドガーに進撃する。 「我が生に迷い無し!」 「度胸は買うぜ。アルス!」 アルスとスレイプニルの影が真っ赤な光の中に消えた。そして爆炎は一際大きな爆発を起こす。膨張した紅蓮の炎は漆黒の煙の塊になって天上へ上っていった。 「…悪いな。下手したら五体満足が無くなるぜ。」 ヘルファイアが爆発した跡には何も無い。焼け焦げた木々が炭になって散乱している。無惨な光景だ。 しかし、エドガーは眼を顰めた。アルスの姿が跡形も無い。体が微塵も無くなる程の火力では無かった筈だ。 「っ?!」 別方向から気配を感じてエドガーは顔を上げた。 気配があったのは頭上だ。
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