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「やれやれ拗ねるなよ。」
「うるさい…。」
シオがいじけて、益々ジョゼフは楽しくなったようだ。だが流石にこれ以上いじるとどうなるか分からないので追撃はしなかった。
「俺って何なんだよ…。」
シオは呻くように呟いた。独り心地だ。
「…俺は、召還体なのか…?」
「それは、違う。」
唐突にジョゼフが口を挟んだ。
「ちょっと魔法の知識があれば分かるだろ?召還体が完全に術者から独立するのは不可能だ。それにお前、ちゃんと生理現象あんだろ?召還体にそんな機能付ける物好きはいないよ。」
「じゃあ…何だよ。」
ジョゼフが急に饒舌になったので、僅かに希望を込めてシオは訊いた。
また答えを期待して見つめてくるシオをジョゼフは暫く見返し、ゆっくり口を開いた。
「さぁ。」
「もうっ!」
殴りかかってきたシオをいなし、ジョゼフは立ち上がった。弾みでシオはベッドから落ちた。
「からかうなら出てけよ!」
すっかりお冠になったシオは枕やシーツをジョゼフに投げつける。ジョゼフはヒラヒラとかわしながら、部屋のドアを開けた。
「男のヒステリーなんて見れたものじゃないぜ?クールに生きな!」
「うっさい!」
「機嫌直しとけよ?後三日で学校再開だからな。」
得意顔を後に残してジョゼフは去っていった。
再びベッドに乗り、シオは横になる。感情を発散させた為か、胸の中がすっきりしていた。だが冷静に立ち帰れば立ち帰る程、胸の中をジワジワと鬱屈が埋まっていく。一気に不快になった。
大きく頭を振って、シオはシーツにくるまり、体を丸めた。
眠りにつけない事を知りながら、目を固く閉じた。
今は、何も考えたくなかった。
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