61人が本棚に入れています
本棚に追加
「どこから誰が出てこようが一発でのしてやっからよ!」
自信満々に云い切られても締まりが無い。レベッカはぎこちない笑みを返すだけだ。
「おい、ありゃなんだ?!」
執行部員の声と指す指の方向に月虎とレベッカは向いた。
空に大量の光の杭が浮いている。どれも鋭い先端を地上に向けていた。
「っ!まさかっ…!」
レベッカが顔色を変えた瞬間、一斉に光の杭が降り注いで来た。
「集まって伏せろぉお!」
月虎が怒号を飛ばす。執行部員が集まって身を屈めたタイミングで月虎は躍り出た。月虎は武器を高々と掲げ、力の限り振り回した。
「どおりゃあああああ!」
回転する刃が光の杭を弾き飛ばす。刃にかからなかった杭は周囲で爆発し、地面を穿いた。
一頻り回している内に杭は消え去ったようだ。
「何だよ、今の…。」
レベッカは呆然とした顔でまだ空を見上げている。
月虎は武器を下ろして空を一睨みし、振り返って手勢を見渡した。初めて締まりのある顔になった。畏怖がある。
レベッカは身震いした。
「お前ら、覚悟決めとけよ。またあぁ云うの来るかもだぜ。」
「す、進むんですか?」
執行部員の男の一人が情け無い声を上げる。月虎は怒りもせず、真っ直ぐその男を見詰めた。貫かれるような瞳だ。
「キツかったら下がれ。だが俺は進むぜ。
男は味方以外に背中向けちゃなんねぇからよ。」
月虎はフッと微笑むと、踵を返して前進した。歩調は乱れていない。
初めは月虎が一人で前進していたが、レベッカが追随したのを皮切りにぞろぞろて皆付いて行った。バラバラだった足並みは次第に一塊となる。
一繋がりの行進が生まれた。
最初のコメントを投稿しよう!