6.風雲逆巻く

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同時刻、また別の位置のゼルクレス達は。 「あぁっ!クソッ…!」 穴だらけになったダウンジャケットを脱ぎ捨て、ゼルクレス・グレムノートは悪態を吐いた。季節外れのジャケットの下はこれまた季節外れのブレザーだ。多数の光の杭が降り注いで来たのだ。ゼルクレスは咄嗟に闇を広げて防いだが、余りの弾数に幾つかが闇を突き破って来た。何発か直撃してもゼルクレスは健全だった。銀灰色の瞳は生気を無くしたかのように虚ろげだが、鼻は忙しなくひくついている。 「森…うぜえ。」 諦めてゼルクレスは振り返った。率いていた執行部員達の呻き声が聴こえる。無事だった者は介抱に奔走していた。 深刻そうな被害を察知したゼルクレスは眉を顰めた。隊列は滅茶苦茶だ。執行部員達は離散してしまっただろう。 「ゼルクレスさん!」 そんなゼルクレスに野球帽を深々と被った執行部員が近付いた。肩に黒い長髪の執行部員を担いでいる。 「半数以上がやられました…!」 「リカルドのとこに連れてけ。無茶させんなよ。」 「了解です!」 執行部員は仲間を背負って沃さと駆けて行った。 「…ロクなもんじゃねぇな。」 ゼルクレスは空を見上げて呟いた。 そして続々と手勢が撤退していく中、一人歩き出した。
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