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リカルドが座する本営。
「空中からの爆撃?誰からだ。」
パソコンを前にリカルドは顎に右手を当てた。眼鏡のレンズの奥で涼やかな目が爛々と輝いた。
「アルスです。飛行可能な召喚体に乗った上から攻撃を。」
「標的は?」
「空中を旋回しながら無作為に広範囲攻撃を仕掛けています。」
ルーカの報告を聴きながらリカルドは右手の指を鳴らした。何回も何回も。
目はパソコンのディスプレイを凝視する。西のエドガー、北のアルフレッド、東の月虎、南のゼルクレスと黛。手勢はそれぞれ三十名は付けたが、アルスの奇襲で半数近くはやられたようだ。脱落者が続々と本営に運ばれている。
「単独で奇襲、それも賑々しい広範囲攻撃…。」
「陽動、ですか。」
ルーカが口を出す。云いたい事が多くてうずうずしていたのだろう。体を乗り出していた。
「アルスで気を引かせている内に、脱出を…」
「アルフレッドのみ先行させろ。他はアルスを無視して地上を探索させる。」
「アマデオ達の脱出経路は最初に突き崩したエドガーさんの部隊がいる西じゃ」
「ルーカ。」
強く、リカルドはルーカの台詞を断つ。
「お前の仕事は情報の収集であって憶測の発表じゃない。分を弁えろ。」
ルーカは口元を歪め、肩を落とした。情けなさばかり際立つ、侘びしい居住まいだった。
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