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「…騒がしいな。」
テントの中のリカルドは呟いた。デスクの上に置かれた左手が小刻むに指を動かし、音を奏でる。
ルーカが注意深く耳を澄ます。悲鳴や人が倒れる音。怪我人が急増したにして切羽詰まっている。
ルーカは立ち上がり、テントの入り口に行った。
すると、巨大な爆発音が轟く。ルーカは立ち止まり、リカルドは立ち上がる。
刹那、痩せこけた男が入り込んで来た。ルーカは目を剥く。
「お前っ、逃げてる筈じゃ…」
「逃げるだとぉ?!」
痩せこけた男が黒いロープを素早く伸ばし、ルーカの首に巻き付けて下に引いた。ルーカが前屈みになった所を狙い、ルーカのこめかみに膝蹴りを打つ。
ルーカは音も無く倒れた。
「逃げるなどといつ云った?逃げるなら捨て身の特攻をかけるのが俺達だ。そうだろう?!リカルド!フルメタルジャケットも真っ青なスーサイダー達だぜ、俺達は!」
痩せこけた男は謳う。
アマデオは謳う。
リカルドはデスクの収納口から取り出した黒い手袋をはめながら、苦々しい顔をする。
「…白兵戦もやれるんだな。」
「何を今更!見掛けで判断するとは節穴だ。高位に着く奴が人並みな訳無いだろう?!」
「お前一人か?」
「盟友も一緒さ。」
「スヴェイン…!」
リカルドは歯軋りした。耳心地の悪い音が鳴った。
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