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アマデオの云う通りだ。
いつからだ。
いつから思ってしまったのだ。
こいつらが逃げるなどと。
こいつらはいかれている。
背を向けるくらいなら相手の喉笛に噛み付く方を選ぶような連中だ。ずっと分かっていた筈だ。
なのに、なのに。
どうして思ってしまった?
「敗因の説明がいる程無能じゃないだろう?リカルド。」
アマデオがデスクの上に立った。書類やパソコンがあろうがお構い無しだ。彼は彼の命じるままに動く。
「だが語らせてもらうぜ?何故なら俺は気分が良い。バカルディを呷ったくらいにな!いやぁ御機嫌だ。出し抜かれた顔程美味い肴は無い。ゆっくりキメさせて頂くよ。」
アマデオは近付いてくる。
リカルドは動かない。背を向ける事を彼は嫌った。逃げ惑うくらいなら責を負って殴られる方が良い。
「俺達はリストカッター!ナイフより鋭利に手首を切り落とす。指の一本や二本は落とさないと示しがつかない。」
「俺を倒して崩壊する組織作りなどしていない。」
リカルドは無愛想に返した。負け惜しみの響きは無い。冷静にこれからとこれまでを照らし合わせている。
アマデオは満足げに笑った。
「それは結構!だがこの場の頭は貰った。」
アマデオがリカルドの前に立った。リカルドはチラリと見上げる。背丈は自分より低い。体つきも貧弱だ。目力がなければ動く案山子にしか見えないだろう。
アマデオは右手をリカルドに向ける。
「良い立ち回りだ、リカルド。さようなら。
チャージインパクト。」
衝撃波が、リカルドの体を地面に叩き付けた。
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