7.バーン・ユア・ドレッド

2/28
前へ
/804ページ
次へ
クローズドホーム、展望室。 空間操作系魔法で空間がねじ曲がっているプラント内にある展望室は特殊な仕様になっている。 クローズドホームの周囲360度全ての景色が円形の部屋の壁一面に映っているのだ。使用者はアクリル製の透けた入り口から続く足場に乗って、中央の広間で外の景色を眺める事が出来る。広間も足場と同じ造りになっており、頭上だけで無く足元からも観察が可能なのだ。 「苦戦中かな。」 広間の中心でレイルは森林地帯で繰り広げられている戦闘を具に見守っていた。 先程まではアルスが空中を旋回し、大規模な攻撃を仕掛けていたり、アルフレッドのサハスラブジャが発動したりしていたが、今ではそんなスケールは無い。森に引っ込んだアルスやその仲間達が森の中で戦っているのだろう。時折小規模な爆発が起こったり、木々が倒れたりしている。 そんな現象が度々発生しているだけで目に見える変化は起こっていない。膠着状態に陥ったのだろう。 作戦そのものはリカルドに一任した。相手の数を遥かに超える戦力を投下し、質も数に比例させた。数字だけ見れば圧倒的優勢は約束されていたのも当然だ。 だが苦戦する事はリカルドもレイルも承知していた。戦闘では飛白とアルス、知略ではアマデオとスヴェイン。敵方は数は少ないが質は飛び抜けている。駒は数より使いようだ。相手が賢明な使い方を選べば苦戦は必至だった。 戦争ならまだしも戦闘は数より質が鍵となる。どれだけ大所帯で攻めかかろうが駒が有能ならば打破される可能性はあった。 苦戦を承知していたとは云え、そういう局面になれば悩ましくなる。 レイルは時折顎に手を当て、リカルドに良い献策は出来ないか思案していた。
/804ページ

最初のコメントを投稿しよう!

61人が本棚に入れています
本棚に追加