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「ねぇねぇアッチンってさぁ。」
また唐突にドロシーが口を開いた。アッシュが眉を顰める。
「アッチン…?!」
「そぉ、君だよー。アッチン♪」
明らかに当惑しているアッシュが面白いのかドロシーはケタケタ笑った。
「アッチンってまだ生徒会長目指してんの?」
「何…?」
アッシュが答えに詰まった。場違いな問いに戸惑っているんだろうが、質問が異質だ。ルキアも平静さ装いながらも、耳をそばだてている。
「今する話じゃないだろう。」
アッシュは落ち着いた口調で返した。
「えぇー何で?!夢訊いているだけじゃん!何で云えないの?!
あ、そっか。今の会長さんの後釜なんて考えてらんないもんね!」
しまった。
アッシュは苦い顔をする。痼りが残るような返答はルキアとの間に小さな亀裂を入れる。それがドロシーの狙いだと分かっていても否応なく記憶は刻まれる。
ルキアは気にしていない素振りだが、アッシュが会長の座を見据えていると云う情報はルキアにちゃんと認識されてしまった。
「アッチンは野心家だからさぁ、絶対レイルさんの後釜に着く準備してるよねぇ~。ってか今の生徒会のやり方好きじゃないんでしょ?会長の座を奪る準備してんじゃないの?!なーんちゃって。」
「事実無根だ。」
アッシュは感情を極力押し殺して否定した。此処で逆鱗を見せたらルキアとの信頼関係が崩れる。
「ニャハハハ怒んないでよぉ~。」
ドロシーはあざとい仕草で謝罪をアピールした。
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