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『仲間…じゃないのか。』
「知ってる。でも心配するかは別でしょ。」
ドライだな。
スティンガーは肩を竦めた。
「レオノーラさん!」
執行部員の一人が切羽詰まった顔で振り返った。ショートカットの女子だ。
「リカルドさんと連絡が取れません…!」
「……。」
レオノーラは顔をしかめた。最悪のパターンが頭を過ぎる。
スティンガーが進み出た。
『…増援に向かう。』
「レイルが出張ってんでしょ?焦らない。」
『最悪は想定すべきでは?』
「此処の統率を乱すのも最悪じゃない?」
レオノーラは悉く乾いた反応を見せる。スティンガーは苛立ちを隠せず、レオノーラの横顔を見やった。二、三云おうとしたが思いとどまる。
レオノーラの目は冷静だ。冷たい歯車が回る音が聞こえてきそうな程に。
「現場に斥候を出そうか。適当な奴送って。」
「はい!」
報告した執行部員に指示を出し、レオノーラは腕を組んだ。相手はアマデオ。何で来るか分からない。
『…ん?』
ふと、スティンガーは違和感を覚える。空気の変化を感じたからだ。
スティンガーは天井を見上げた。
煙が沸いている。換気扇から来ている。
『おい、レオノーラさん…!』
「何?」
レオノーラがスティンガーを顧みた瞬間
セキュリティールームは紅蓮に包まれた。
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