7.バーン・ユア・ドレッド

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本営。 「ぐっ…!」 リカルドは自身の呻き声で目覚めた。 「おやぁ、お目覚めかい?」 目線を上げると、デスクの上に立つアマデオがいた。相変わらずの猫背だ。不格好に折れ曲がった針金に似ている。 「アマデオ…!」 リカルドは憎々しさを込めてアマデオを睨む。舌を動かすと血の味がした。 「起きたからには強制参加だ。ショウ・マスト・ゴー・オン!誰も寝てはならぬ!」 「イかれが…!」 「云うなよ。 、、、 今更だ。」 アマデオは誇らしげに胸を張った。足を動かすと歪な物音がした。デスクからバラバラと何かが落ちてくる。 パソコンの残骸だ。ディスプレイの破片、砕けた基盤、キーボード。通信機器の一切合切を破壊したようだ。 「レオノーラがまた怒るな…。」 リカルドはシニカルに笑う。強がりだ。分かっているが、絶望や苛立ちで思考を掻き乱す訳にはいかない。虚勢を張る余裕くらいは残さねばならない。 アマデオはそんなリカルドの意図を知っているらしい。意地悪い笑みを貼り付け、粘着質な視線を差し向ける。 「気張るのもいいがそれまでだぜ。差したる意味は持ち得ない。何故ならお前達は刻一刻と崩壊していくからな。」 「バカを…!」 「耳を澄ませるがいい。飛び切りのメロディーが聞こえてくる。」
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