7.バーン・ユア・ドレッド

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リカルドは訝しげな顔をしながらも、耳を澄ませた。遠い地鳴りのような音が聴こえる。いや地鳴りじゃない。音は空から降ってくる。か細いが、間違いない。 推測は容易だった。 「貴様っ…!」 「ぬぅ、小さな花火だな。思った以上じゃないな。」 アマデオは不満そうに口を尖らせた。だが目は笑っている。 「次は高々と上げよう。より鮮やかにより華やかに!青空を焦がさんばかりに!」 「減らず口を…!」 リカルドはゆっくり立ち上がった。足取りは覚束無い。 アマデオは露骨に憐れんでみせる。 「カプリチオは始まったんだぜ?調和を掻き乱す真似はお控え頂きたいねぇ!」 「バカが…!」 リカルドは両手に嵌めた手袋を強く引いた。 「我々は個の集合体だ…。ただの一枚岩じゃない。砕けても…個々の意志で動く。」 「おや、見当違いをしたかな?団結がお前達の強みだと思っていたが。」 「違うな。団結のニュアンスが違う。」 リカルドは微笑んだ。虚勢じゃない。勝機を得た微笑み。 アマデオが初めて笑いを失した。 「俺達はレイルの旗の下で団結する。だからレイルがいる限り、俺達は力を発揮し続ける。」 「そいつは…。っ?!」 急にアマデオが顔を強ばらせる。背中に激痛。振り返ると、太い樹木の束が背中に食い込んでいる。樹木を辿ると先程失神させた筈のルーカが立っていた。呪符を手にし、激昂している。こめかみから血が流れているが気になっていないようだ。 「おや、まあ…」 アマデオは唇を歪めた。気配を察し、顔を向けるとリカルドが接近していた。右手をアマデオの胸に付ける。 「云い忘れた。両ノ手に籍を置く俺も…人並みな訳が無い。」 強烈な衝撃波がアマデオの体を撃ち抜いた。
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