61人が本棚に入れています
本棚に追加
「30シルバーズ!」
波動は立ちふさがったユダが操る銀貨によって軌道を曲げられ、飛来してきた大元へ返された。
「レイディアントエアー!」
術者に行き当たったのだろう、声が聞こえた。途端に波動は発生した青い大気のドームにぶつかって消失する。
「誰だっ!」
スヴェインは出せるだけの怒気を放つ。凄まじい威嚇だ。
進み出たのは小柄な少年と発達したプロモーションを持つ少女。両者共見覚えがある。特に前者は今日会った。
「そこの女…確かNOISEの…」
「久し振りッス。スヴェインさん。ジャクリーン・エマーソンッス。」
「邪魔すんなよ…。そこのチビもだ。」
「こいつはシオ。うちのルーキーですよ。」
ジャクリーンは慎重に会話する。スヴェインが短気なのは知っていたが今はピークだ。扱いを間違えると危険な事になる。
「落ち着いて話を聞いてくださいよ…。こっちも生徒会を撤退させたいんで。」
「なら引っ込んでろ。テメェらは駒にしていねぇ。邪魔だ。」
スヴェインは敵意をより明確に二人へ向けた。空気がひりつく。
「生徒会は俺達が抑えます。だから、あなたは退いてください。」
シオが威嚇に負けじと声を上げた。震えている。怖い訳じゃない。だがスヴェインと云うこの男と向き合って、心のうちに潜むあの無数の声がざわめきだしたのだ。
スヴェイン。
スヴェイン・アグリュー。
「俺…あの人を知っている。」
最初のコメントを投稿しよう!