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「えっ?」
ジャクリーンが怪訝な顔をした。シオはスヴェインを凝視している。とりつかれたかのように見ている。
「今日会ったとかじゃないの?」
「違う…もっと前、もっと前から…」
「サイコじゃねぇよなぁ、そいつ。目がキメェ。」
スヴェインはシオを侮蔑し、凶悪な笑みを浮かべた。シオは変わらずスヴェインを見ている。スヴェインはシオの視線が不愉快になってきた。
「親友…。レイルさんの、親友…。」
「テメェ、寝言を…!」
スヴェインの声に棘が混じる。
「レイルさんと同じ…失われた家の…子供…!」
スヴェインの目が大きく見開かれた。純粋な驚愕。澱んだ灰色の瞳が一瞬澄んで見える。空洞が出来たように。
だが空洞はすぐに燃え立つ憤怒に染まった。
「訳も分からん事をペラペラと…吹いてんじゃねぇぇえ!」
スヴェインはダガーを二つ共地面に突き立てた。
「ファランクス!」
地面が隆起し、大量の槍が生まれて突進してくる。
「シオ!跳ぶよ!」
「えっ?!」
ジャクリーンの腕が体に回された時、シオは漸く我に帰った。
「ディパーチャー!」
ジャクリーンはシオを抱え、軽やかに跳躍した。
「ジャクリーンさん!」
「大丈夫?!なんかボーっとしてたけど!」
「すいません。やっぱり俺…」
「気にしない!どうせ逃げ場は無いんだから!」
背後に大量の槍が地面にぶつかる衝撃音が聴こえた。シオは目を剥く。
「あの魔法…!チーフのエクストラ=シスマ?!どうしてあの人が…」
「相手の術を奪う魔法アーツスナッチ。シオもうかうかしてるとパクられるよ。」
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