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ジャクリーンがシオを連れスヴェインの周りを旋回する。ジャクリーンはスヴェインの背後に回り、叫んだ。
「シオ!行けっ!」
「インパルスレイヴ!」
シオはジャクリーンに抱えられた状態で杖を振るい、青く鋭い弾丸を大量に発射した。
「くだらねぇんだよ!」
スヴェインはユダを前に立たせ、インパルスレイヴの軌道を変えてシオに返した。
「やっば!」
ジャクリーンは慌てて高く跳び、インパルスレイヴをかわした。
回避して見せたジャクリーンに苛立ちながらも、スヴェインはある違和を覚えていた。
シオが放つ魔法をユダで防ぐと魔力が抜けるのだ。小さく空いた穴からタイヤの空気が漏れ出るように。シオの魔法の特性はアマデオから聴いている。ユダの力でも魔力中和作用は影響されるらしい。
スヴェインは舌打ちし、ダガーを地面から抜いた。ダガーを手繰る。
ジャクリーンは危機を察し、素早くステップした。
「範囲内だ!」
スヴェインの言葉の後に透明なリングが大量に出現する。
シオは目を丸くした。
「これはっ、ヴェスティールの…!」
「ミッシングリング!」
スヴェインがリングに斬撃を加えた瞬間、リングに触れていたジャクリーンの背中から血飛沫が上がった。
「うあっ…!」
「ジャクリーンさん!」
バランスを崩したジャクリーンを庇い、シオは地面にぶつかった。
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