7.バーン・ユア・ドレッド

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シオはすぐに立ち上がり、ジャクリーンの傷を確認する。浅いが出血が多い。今までのペースでディパーチャーを使うのは危険だ。 「ジャクリーンさん!しっかり!」 「私は、いい…。治癒が使えるから…。シオは…!」 ジャクリーンは生気が薄まった瞳でシオの後方に注意を促した。 シオが振り返ると炎の塊が飛んでくる。シオは咄嗟にレイディアントエアーを張って防いだ。 「テメェはなんだ?」 スヴェインが接近してくる。完全にシオを敵として認識したようだ。 「テメェはなんだ?」 呪詛のようにスヴェインは同じ台詞を繰り返す。 「俺は…シオ。シオ・クォール。」 シオは緊張を込めて云う。 「名前じゃねぇんだよ。テメェが何かって事だ。何で知っているんだ?失われた家の事を…!」 シオは困惑した。シオにとってそのワードは知識に過ぎない。記憶や経験で肉付けされていない。 スヴェインにとっては違っても、シオにとってはただの言葉だ。問われても答えられない。 「分からない…。」 苦し紛れだが、シオの本音だ。 「吹きやがって…!」 やはりスヴェインは意に介さない。両手のダガーを回し、構えた。 「吐かせてやるよ。テメェの腹を裂いてでもな。」 スヴェインの覇気は凄まじい。華奢な体躯だが体に収まりきらない程のオーラがある。一度火が点けば跡形も無く爆発しかねないばかりのオーラが。 だがシオは不思議と恐怖は感じなかった。ただ悲しみに近しい侘びしさを感じた。スヴェインに差す陰は仄暗く、何かの輪郭を内包している。 そればかりは、シオにも分からなかった。
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