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「NOISEか…。」
校舎屋上のレイルは目を細めた。
突然の乱入者はスヴェインと対峙している。味方では無いと察したが、正体が分からず攻め倦ねていた。だが青い輝きが発生した段階で正体は掴めた。
NOISEのシオ・クォール。
傍らにもう一人いる。重力法則を無視した移動術。ディパーチャーの使い手で女と云う事はジャクリーンだろう。
正体を掴んでもレイルは攻撃しないでいた。傍らのサリアが身を乗り出す。
「あいつら、NOISEの…!会長、纏めて潰しましょう!」
「落ち着いてよ、サリア。今回は彼らに布告していない。迂闊に手を出せば揚げ足を取られる。こっちに明確な敵意を向けてくるまで手は出さない。」
「でも編集室を占拠してるのにアイツ等が現れたって事は…!」
「今回NOISEはあくまで関わらせないようにするだけだ。必要以上にちょっかいは出したくない。」
不意にサリアの端末が鳴った。サリアは素早く応対する。通話を始めると、彼女は見る見る青ざめた。
すぐに端末を仕舞い、サリアは声を裏返してまくし立てた。
「クローズドホームで爆発が発生したって!内部は混乱状態…!」
レイルは憂鬱そうに眉間を抑えた。一思案し、すぐ向き直る。
「戻ろう、サリア。矢も切れた。」
そう云ってレイルは弓を投げ捨てた。
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