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「「引っ込んでて。」」
不仲さからはイメージ出来ない綺麗な拒否にシルトはすごすごと下がる。
そんな中執行部員の一人から端末の着信音が鳴った。その執行部員の男を素早くメイデンが睨む。不幸だ。男は頭を気まずそうに背を曲げ、こそこそと隅に云った。
初めは場違いな連絡をしてきた相手を叱っていたが、話し込んでいるうちに顔色を変えた。端末を切って声を上げる。
「メイデンさん!スヴェイン達に本営が制圧された上にNOISEが出現!しかもクローズドホームが何者かに奇襲されているって連絡が…」
「黙れっ!」
メイデンが鋭く言葉を飛ばす。失態に気付いた執行部員は肩を落として唖然とした。
「ふっふ~ん…。スヴェイン達を狩ってた訳ね。」
ヲリエは愉快そうに云った。メイデンの睨みの矛先が向く。
「アンタの仲間が乱入みたいだけど何?早速スヴェインに尻尾振ってんの?」
「無事だってアピールしてんじゃない?あの子達健気だから。」
「自分の立場を」
「言葉を返すよ、フリス。」
ヲリエがメイデンの言葉を断つ。
「前も後ろもかき乱されている癖にあたし達の見張りやってていいの?」
「うるさいっ!お前達を敵対勢力を見做して潰すわよ!」
メイデンは狼狽している。恐らくレイルの安否を気にしているのだろう。彼女は変わらない。レイルの事になるといつだってこうだ。
ヲリエは加減しない。
有無も云わさぬ覇気を込めてメイデンを見た。
「ならあたし達はあたし達でやらせて貰う。仕事場侵しといて無事に帰れる訳…無いでしょ?」
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