8.ジャスト・ムーブ

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本営前。 「ミッシングリング!」 スヴェインがリングの配置をより広く、より複雑に変える。シオはリングに触れないよう体勢を低く保ち、スヴェインから距離を取った。 「インパルスレイヴ!」 青い弾丸を連発するがスヴェインはユダを招き寄せて反射、シオに突き返した。それも正確に。 用心深く回避し、シオは次の手を思案する。 「適当云ってごまかしてんじゃねぇぞ!」 スヴェインは左手のダガーを突き付けた。先端に光が灯る。 「トゥインクルランスブッシュ!」 数十本のレーザーが拡散して放たれる。シオは身を捻ってかわす。 「だから…分からない!」 着地したシオにミッシングリングが近付く。シオは賺さず退避した。スヴェインとの距離は広がる一方だ。ジャクリーンは遠ざけて、本営からも遠い茂みの中で休ませている。自身で治癒魔法をかけているがすぐに復帰とはいかないだろう。 シオはジャクリーンを巻き込むまいと意識して回避している。だがスヴェインは鮮烈な敵意を以て接近してくる。攻撃に迷いが無い。ただ無機的に繰り返される作業のように手際良く、苛烈に攻め立てる。 「吹きやがって!」 スヴェインはシオの訳が分からない応答に辟易しているようだ。10mばかり間を取っても刺青のようにくっきりとした青筋が立っているのが見える。 「テメェは地雷を踏んだ!」 スヴェインはダガーを交差させ、素早く摺り合わせた。夥しいエネルギーが間に走り、強力なエネルギー体を作る。
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