8.ジャスト・ムーブ

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NOISE編集室。 「ならあたし達はあたし達でやらせて貰う。仕事場侵しといて無事に帰れる訳…無いでしょ?」 ヲリエの台詞の後にすぐ行動したのはシルトだった。どこからか出したチャクラムを一対、素早く投げつける。巨大な刃の円盤が旋回する様に執行部員達は怯む。 「あぁくそっ!荒事はやだってのに!」 リントが悪態をついて大量の舞わす。 「ペーパークラフト、ツイスティング、スパイダーネット!」 紙が捻れて糸になり、部屋中に張り巡らされる。部屋の中の執行部員達は糸で絡め取られる。 「無駄な抵抗をっ!」 メイデンは激高し、ソーンチェーンを現出させる。編集室の空気が一変する。 メイデンがソーンチェーンを一閃させた。ヲリエ達は屈んでかわす。 「コイツらっ…。」 メイデンはスパイダーネットを切り払い、再度ソーンチェーンで攻勢を掛けようとする。そこで違和を感じた。 ソーンチェーンが波を被った砂の城のように崩れだしている。現出に必要な魔力の供給は怠っていない。メイデンには不可解な状況だ。 原因は部屋を見渡せばすぐ分かった。青い粒子を漂わせている少女がいる。 謎の転校生、アイン。 射抜くような視線でメイデンを睨み、左手を突きつけている。地面に突き立てられた宝剣のように、凛と、澄んだ輝きを持っている。 メイデンは睨み返した。ソーンチェーンを通じて虚脱感が襲う。直接食らったのは初めてだが感触は聴いた通りだ。魔力中和粒子の作用。 「お前…!」
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