8.ジャスト・ムーブ

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アインはメイデンに気圧される事無く青い粒子を手繰り、更に大量の水滴を出現させた。水滴の中に粒子が閉じ込められ、煌めき出す。砕けた青い水晶を散りばめたような光景が出来る。 「ミスティックブルー!」 アインが水滴を一挙に編集室内に広げた。編集室は瞬時に煌めきに埋め尽くされる。 「シオと同じ力…!」 シェリルは目を丸くして編集室を埋め尽くす煌めきを見た。虚脱感は無い。魔力を中和されてはいないらしい。逆に力を注ぎ込まれた感じがする。体の深奥へ新たな流れが生まれている。脈々と流れ、魂を潤す力の流れ。 「何がっ…起こって…!」 メイデンが苦悶の表情を浮かべる。執行部員達もだ。体に力が入らないようで、直立を維持できない。 「メイデンさん達の魔力を中和し拡散させ、僕達に送っている…?」 ラウルが驚きを込めて分析する。 「シオ以上の使い手か…。」 リントが顎をしゃくった。 「早く、反撃を!」 アインは鋭さを保ったまま指図する。最初に走ったのはヲリエだ。 デスク下に置いてあったインディクーム・マンデスを手に、ヲリエはメイデンにぶつかった。 「ヲリエっ…!」 メイデンは瓦解するソーンチェーンを消し、ヲリエに組み付いた。 「アンタ落とせば勝ち…ってね!」 「戦争ね。上等だわ…!」 「積極的自衛ってヤツ。まだ云い訳は…出来るっ!」 ヲリエはメイデンの胸倉を強く掴んだ。
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