8.ジャスト・ムーブ

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ヲリエはメイデンの胸倉を左手で掴んだまま、インディクーム・マンデスを振り上げ、床に叩きつけた。 「ジャイアントリリス!」 床が隆起し、花弁状に二人を包む。床が窪み、埋没していく。 「ヲリエ!」 駆け付けようとするシルトをヲリエは目で制した。決死の目だ。シルトの歩みは止められる。 「シルト!リント!皆でコイツ等をとっちめて!あたしはフリスを連れて行く!」 「ふざけるなっ…!」 ヲリエの意図を察したメイデンは抵抗するが、魔力中和粒子を諸に受けた為魔力の回復が遅い。また魔力中和粒子を媒介に魔力を補充されたヲリエのジャイアントリリスは進行が加速している。 花弁はあっと云う間に人の背丈程になり、埋没する床はかなりの深みに達していた。 「アイン!」 既に穴蔵と化したジャイアントリリスの内部からヲリエが呼び掛ける。 「は、はいっ!」 アインはハッとした表情で広がる花弁の中央部を覗き込んだ。 「ありがとう!」 ヲリエの精悍な笑顔が、其処にあった。 「…何を企んでいる。」 すっかり暗い地下に入り、尚も沈下を続ける中でメイデンが云った。ヲリエは笑みを返す。 「愉しい事。」 、、、、 「いかれだわ。」 メイデンが吐き捨てた。 刹那、足下から光が溢れ、二人の足から地の感触が消えた。
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