8.ジャスト・ムーブ

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二人は空に投げ出されていた。重力の法則に従い、真っ逆様に落下する。 「ホント、バカっ!アンタ!」 組み付くヲリエを蹴りながらメイデンが怒鳴った。蹴られてもヲリエは尚も組み付く。 「パンツ見えてるよ!」 「五月蝿いっ!」 メイデンはヲリエの胸元に肘鉄を食らわせ、引き離してからNOISEのプラントへ右手を伸ばした。 「ソーンチェーン!」 発生した鎖が伸び、プラントの外壁に接続される。ヲリエは伸びきったソーンチェーンに止められた。 「うっ?!」 メイデンの右足に体重が掛かる。ヲリエだ。懲りずに掴まったのだ。 「ヲリエェッ…!」 「簡単に落ちないよ!白パン!」 「潔く死ねっ!」 ヲリエを引き離そうとメイデンは容赦なく踏みつける。鋭いピンヒールだ。何発かヒールが顔に当たり、ヲリエは鼻血を流す。 だがヲリエは怯まない。寧ろ益々不敵な笑みをメイデンに向ける。メイデンの苛立ちが加速する。ヲリエはゆっくりインディクーム・マンデスを上げた。 「落ちなさいよっ!速く!」 「放さないよ…絶対!」 ヲリエは力任せにインディクーム・マンデスを突き上げた。しっかりと魔力を込めて振り抜いた。 「くそっ…!」 「ブレイキングウォール!」 必殺の気概を込めた一撃が、メイデンの体を貫いた。
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