8.ジャスト・ムーブ

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「チーフの行方は?!」 NOISE編集室。 書類の山が氾濫していた編集室内には目を回した執行部員達があちこちに転がっている。その中でリントはヲリエが作ったジャイアントリリスの中央の穴に駆け寄った。アイン達も続く。 「落ち着いてよ、リント。」 「出来ますかっ!あんのメスゴリラの事だから…!」 リントが穴から見下ろしすと、翼が見えた。ヲリエの魔法だろう。 「良かった、無事だ…。」 シェリルが胸を撫で下ろした。 「スゴい…。捨て身の…戦いが出来るなんて…。」 アインが呟いた。尊敬の眼差しにしては強い。衝動的な憧憬だろうか。空色の瞳がヲリエに吸い込まれそうだ。 「何がスゴいだ。バカなだけだよ。」 リントが毒づく。語調に安堵が見え隠れする。 するとリントの側で倒れている執行部員の端末が鳴った。リントはシルトと目配せし、端末を手に取る。視線はヲリエに向けたままだ。 『おい、そっちはどうなっている?!』 リカルドの声だ。リントはわざと倹を入れて答える。 「やぁ、御苦労な事だな。」 『貴様…リントか。』 「悪いがやり返して貰った。正当防衛だ。」 『フリスはどうした?!』 「チーフと空中散歩中じゃないか?そっちからは見えるか?」 『くそっ、やはり…。』 「頼むから矛を収めて欲しいな。これ以上の介入は…」 動きがあった。 浮遊しているヲリエが急に不安定になった。明らかに危険な揺れだ。 「あっ、あれ…!」 ラウルが指差す。 ヲリエの翼に鎖が幾重に巻き付いている。 すると突然、ヲリエが落下を始めた。危険な速度で。
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