8.ジャスト・ムーブ

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『すいません、早まりました。』 スティンガーは頭を下げた。 怒りが込み上がる。レイルやレオノーラの心境を察せなかった自分に、そしてこの事態を引き起こした裏切り者に。断罪しなくては。必ずこの手で引導を渡さなければ。 スティンガーは闘志の高ぶりを感じた。 「会長!」 サリアが息を切らしながらセキュリティールームに飛び込んで来た。 「大変です、会長!フリスが…!」 焦燥で上手く言葉になっていないが、レイルは眉をひそめた。サリアの剣幕だけで、悪い予感がした。 「四之宮ヲリエとの戦闘でプラントから落下し…校舎に墜落したって…!」 衝撃が走る。言葉と思考を奪う静かな衝撃が凄まじい速度で走った。 「アイツは無事なの?」 一つ間を置いてレオノーラが尋ねた。レイルとスティンガーはまだ黙っている。 「意識不明の重体だって…!」 スティンガーがいきなり駆け出した。足早にセキュリティールームから出て行く。 「ちょっと、スティンガー!」 「行かせていい。」 引き止めようとしたサリアをレイルは制した。 メイデンはレイルの恋人だ。どれだけ深い間柄かは生徒会に属していなくても知れ渡っている。 レイルは酷く落ち着いていた。普段の柔和さは欠片も無い。粛々とレイルは思考している。加速する状況を冷静に整理している。
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