8.ジャスト・ムーブ

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目の前でリーシェンを吹き飛ばしたあの爆発。リクやドロシーは勿論、外で戦っているアマデオ達に出来る筈が無い。加えて今回は生徒会が先手を打った。この日あの時間にクローズドホーム内を爆発させる予定なんて元より存在しない。 だとしたら。 リクは機略には疎いと自覚していたがこればかりは簡単に思い付いた。 生徒会内部に協力者がいる。それも、クローズドホーム全域を容易く混乱させられるような実力を持つ者が。 「きっとあっくんの指示だよ。」 ドロシーがあっけらかんに云った。彼女はさほど気にしていないらしい。 「誰に指示をしたんですか?」 、、、、 「誰かに。」 「勿体ぶらないで…」 リクは言葉を止めた。ドロシーが見つめてきたからだ。深みのある瞳。時たまドロシーはそんな目をする。多くを知っていると胸を張りながらも、安々と立ち寄らせない気迫を持った目。 それをやられると、リクはどうしようもなく戸惑ってしまう。 「本当に知らないの。あっくんも秘密主義だからさ。簡単には教えてくれないの。」 「生徒会の中に仲間がいるんですか?」 怯まずリクは質した。 「そうみたいだね。薄々感じていたけど。」 「俺達を助ける為に、そいつを動かした?」 「勘違いしちゃだーめ。今攻められているあっくんが知っているか知らないかは別にして、仲間を助けるタイミングはちゃんと選ぶよ。」 リクは押し黙った。自分なら脇目も振らずに助けに行くだろう。リクには出来ない打算を、あの男は出来るのだ。 「尤も、助けに行かなくても大丈夫って信頼してくれてる証だけどね。」 クスクスとドロシーは笑った。
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