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「親御さんと仲直りする連絡じゃないのか?」
リクが云ったのに対し、ラウルは頭を振る。
「父さんや母さんとの仲は相変わらず。手紙だったんだけど、僕の近況を聴いてくるだけだったんだ。」
「いい兄貴じゃねぇか!」
シャーロックの言葉にラウルは複雑な顔をした。
「二年前…僕は兄さんと距離を置いていたし、兄さんは優しいけど掴み所が無い人で、何を考えているかよく分からないんだ。だから急に手紙を送られても…ちょっと困る。」
当惑した顔を見せるラウル。素直に兄の連絡を喜ぼうにも喜べない、端から見ていたらくすぐったいもどかしさがあった。
すると、アレンが云った。
「心配してくれる人がいるのは良い事さ。家族なら、尚更ね。」
思い掛けないアレンの一言に、その場の三人はキョトンとした。特にリクが、目を丸くしていた。
「あ、おはよー!」
一瞬の間を黄色い声が潰した。四人が振り向くと見慣れた顔が揃っている。エリス・ヒュウガ、デイジー・ニック、ブリジット・ステラ、そしてシェリル・ハウルロイド。
「これはこれは!花が出てきたねぇ!」
アレンが鼻の下を伸ばして出迎えた。滑らかな黒髪を頭の後ろで縛っているエリスが手を振りながら歩み寄った。夏服の半袖から伸びる腕は日焼けと無縁な程白い。
「久し振り~!」
「エリス!色白いなー!すっげぇきれい゛ひぃっ!!」
エリスに顔を近付けてきたシャーロックを、賺さずデイジーが殴り飛ばす。シャーロックの巨体が床に転がる。
「えっ、何で?!何で?!」
「変態…。」
頬を押さえて慌てるシャーロックをデイジーは怒りを込めて見下ろす。
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