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リクの肌を気配が撫でる。リクは素早くドアに張り付いた。ドロシーも察したらしく、笑うのを止めた。
廊下に誰かいる。
リクは鋏を握り直した。静かに息を吐く。
気配は立ち去ろうとしない。ドアの前で立ち尽くしている。目星を付けられた。
リクはそう判断し、意を決してドアを開けた。
廊下に人がいるのを認識し、首に腕をかけ、口を塞いで一瞬で引きずり込む。部屋に入れると足でドアを閉めた。
「ふぐっ、ぐっ!」
「お前…。」
リクの腕に捕まったのは見知った人物だ。
銀がかった水色の髪を鬣のように逆立ており、瞳は夕日色。小柄で目つきの悪さと生意気そうな雰囲気が目立つ少年。
D組のルーク・ウォーカーだ。
「なんでこんな所に?」
「ふがっ、ぐっ…ぐっ!」
ルークはリクの手を振り払い、立ち上がった。
「相手を見て動け、バカ。」
悪態をつき、苛立った様子でルークは髪を掻いた。腰に二振りのダガーを下げている。甲殻類の爪のような形状のダガー。以前リクは見た事がある。
「答えろよ、ルーク。」
リクは語気を強めた。ルークに関して深くは知らないが、生徒会の一員じゃない事は確かだ。なのに何故か此処にいる。
身の上を明らかにせねば、リクは安堵出来ない。
「ルーくん、ばらしちゃいないよ。りっくんはもう立派な仲間だよ。」
ドロシーが無邪気に云った。リクは目を見張る。
「ドロシーさん、アンタこいつの事…!」
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